大会レポート

全員駅伝で過去最高記録を更新する力走!

第61回十和田八幡平駅伝競走全国大会

2008年8月7日/十和田湖休屋〜八幡平大沼

真夏の過酷な駅伝として知られる「十和田八幡平駅伝競走全国大会(以下、十八駅伝)」が8月7日に開催された。今大会、東京電力 長距離・駅伝チームからは東京電力A(松本翔-原田恵章-橋本圭史-鶴留雄太-仲村一孝)、東京電力B(佐藤健太-村井勇二-島田健一郎-亀田健一-宮城普邦)と2チームが参加した。
大会は午前8時に青森県・十和田湖畔をスタートし、秋田県・八幡平大沼までの最大標高差818メートル、全長73.8kmの国内屈指の難コースを舞台に行われる。東京電力は昨年の同大会で気温が高く、強烈な直射日光が照りつける厳しい気象条件の中、5位入賞を果たしている。シンボリックスポーツとなって3度目の出場。谷口浩美監督指揮の下、初めて臨む駅伝大会だけに周囲からも注目されていた。

≪Bチーム≫


東京電力Bが総合3位に輝いた(写真:Bのアンカー・宮城)
トラックレースで目覚しい活躍を見せる佐藤健太を第1区で起用した東京電力B。しかし、佐藤はレース中盤に待ち構える発荷峠の上り坂で先頭集団から遅れはじめ、最後の下り坂で前を行くチームに接近するスパートを見せるが8位と出遅れてしまう。
だが、佐藤から襷を託された第2区・村井勇二がスタート直後から力強い走りを見せ、チーム浮上の足がかりを作る。レース中、村井は『ここからが本当の勝負。一人で行けないと意味がないぞ!』という谷口監督の声を励みに懸命に走り、最終的に順位を2つ上げる激走を見せて第3区・島田健一郎に襷を託す。
島田は「6月以降レースから遠ざかっていたので、実戦感覚に多少の不安はありました」というものの、それを全く感じさせない走りでレースを展開。襷を受け取った時点で前を行く東京電力Aと1分45秒離されていたが、最終的に19秒差まで縮める。島田は外国籍選手が多く起用されるエース区間で日本人2位の力走で、第4区・亀田健一に襷をつないだ。
今大会が実業団デビュー戦の亀田健一は「自分らしい安定した走り、競り合いに強い持ち味が出せました」と振り返るように、緊張感を微塵も感じさせない走りをする。5km地点で鶴留をかわし、中継点では前方を走る富士通を射程圏内に捉える粘走を見せた。
東京電力Bのアンカーを務めた宮城は、粘り強い走りでゴールを目指す。そして、中盤に日産自動車と富士通を捉え、3位に順位を上げる。東京電力Bは昨年の記録を約6分縮める力走で、チーム最高記録となる3時間51分57秒で、Honda、小森コーポレーションに続いて第3位でゴールラインを走り抜けた。

≪Aチーム≫


原田は第2区で昨年までの区間記録を破る力走を見せる
レースは、序盤からハイペースで進む。その中でひときわ輝きを放っていたのが東京電力A・第1区を任された松本翔だった。スタートから先頭集団でレースを展開。「上りが得意」と本人が口にするとおり、発荷峠に差し掛かると一気に先頭に立ち、チーム関係者に「大きな収穫」だと言わせる走りを見せる。最終的に、下り坂で後続の選手にかわされてしまうが3位で第2区・原田恵章に襷をつないだ。
原田も松本の勢い同様に、スタート直後に2位に順位を上げる積極果敢な走りをする。そして、後方から来たHondaの選手に2位のポジションを譲ったものの、堂々たる走りで昨年までの区間記録を上回る力走で3位を維持したまま第3区の橋本圭史に襷を預けた。
橋本は、昨年の宮城普邦同様に新人ながらエース区間に抜擢された。しかし、そのプレッシャーからか、エース級をつぎ込んだ前方を走る実業団チームに差を広げられてしまう。そして、橋本から襷を受けた鶴留雄太も急激に気温が上昇する厳しいコンディションに苦しみ、後方から来た東京電力B・亀田に抜かれてしまう。しかし、その後踏ん張った鶴留から襷を受けた仲村は、「終盤、他の選手の勢いが止まる上り坂で勝負をかけるつもりでした」と本来の粘り強く安定した走りで前方との差を詰めていく。終盤に差し掛かると日産自動車と富士通をかわし、4位に浮上。最終的に東京電力Aは昨年より順位を上げ、4位(3時間52分16秒)でゴールした。


第4区で繰り広げられたチーム史上初の東京電力AとBの対決
今大会、チームは『駅伝を知る』というテーマの下、『相手との競り合い』を選手に感じさせるために、あえて実力の拮抗した2チームを組んで大会に挑んだ。その中で内容、結果ともに昨年を上回る成果を残し、谷口監督も「選手たちには『自分たちはできるんだ』という自信を持ってほしい」と口にしていた。また、主将の島田は「これでニューイヤー駅伝の出場が決まったわけではないですし、ここからが本当の勝負だと思っています。今大会の最大の収穫はタイム以上に、10人の選手が駅伝を経験できたことです。これを11月の東日本実業団駅伝につなげていきたい」と力強くコメント。チームは十八駅伝を機に大きく羽ばたこうとしている。



号砲とともに好スタートを切った新人の松本(写真中央)

レース終了後に行われた表彰式・閉会式の様子
田中茂樹・全国マラソン連盟会長から記念杯授与


十八駅伝の自信を糧に、勝ちを意識した取り組みを!


◆谷口浩美 監督

今大会は、『駅伝を知る』『一人でどうやって走るか』というのを体感することが最大の狙いでした。その中で、最も重要なことは、各選手が、悪いコンディションの中でも『追い込める自分』というのを見つけられたということです。駅伝はチームの団結力が問われますが、走る時は一人で走らなければならない競技です。その時に求められるのは、自分でコントロールする力です。今大会、私のアドバイスに、各選手ともレース中の走りでそれに応えてくれました。それというのはアドバイスを理解し、自分をコントロールできる力があるからに他なりません。そうしたことからも収穫のある大会になったと思いますし、さらに出場した選手が駅伝を通じて、『我慢のしどころ』を感じてもらえたことが、より大きな成果だと言えます。
今回走った選手たちはいい走りを見せてくれました。補欠に回った選手たちも走れる準備はできていましたので、レースを見て自分が走れない悔しさが込み上げてきたと思います。しかし、今回の十八駅伝は、東京電力のチーム内の選手同士で争ったことによる好結果であり、実際に戦わなくてはならない相手は、外のチームなのです。東日本実業団駅伝で勝ち抜くためには、チーム内の争いのレベルから脱し、今大会以上のパフォーマンスを見せなければなりません。残された期間で、選手たちには今大会を通じて得た『自分たちはできるんだ』という自信を糧に、“どうしたらトップランナーに勝てるか”という課題を意識して練習に取り組んでもらいたいと思います。

東京電力B

(3時間51分57秒/総合3位)

第1区◆佐藤健太
41分58秒(13.6km)
区間8位(総合8位)
 
「戦前から“我慢”のレースになると思っていただけに、上りで先頭と差をつけられてしまったことが悔しいです」
第2区◆村井勇二
38分36秒(13.4km)
区間5位(総合6位)
 
「同大会の第2区チーム記録(39分39秒)を目標として臨み、結果的に1分以上縮める納得のいく走りができました」
第3区◆島田健一郎
47分50秒(16.3km)
区間5位(総合6位)
 
「個人的には久しぶりの実戦でしたが、チーム結果・内容ともに自信となる大会となりました」
第4区◆亀田健一
51分40秒(16.4km)
区間5位(総合5位)
 
「実業団のデビュー戦で緊張していました。でも、走り始めてからは集中できましたし、次につながる大会でした」
第5区◆宮城普邦
51分53秒(14.1km)
区間6位(総合3位)
 
「正直きつかったです。でも、何度も折れそうになりながらも持ち応え、最後まで諦めない粘走をみせることができました」
補欠◆中村洋輔
補欠◆栁沼晃太


東京電力A


(3時間52分16秒/総合4位)

第1区◆松本翔
40分55秒(13.6km)
区間3位(総合3位)
 
「もともと上り坂を得意としているので自信を持ってレースに臨めましたし、今後につなげるという意味でもいい走りができました」
第2区◆原田恵章
37分54秒(13.4km)
区間2位(総合3位)
 
「昨年の区間記録を上回る走りができましたが、内容には満足してません。今後も練習を通じ、さらに自分を追い込んでいきたいです」
第3区◆橋本圭史
49分16秒(16.3km)
区間8位(総合5位)
 
「今大会は自重せずに行こうと心がけていました。内容的には満足はしてませんが、貴重な経験を積むことができました」
第4区◆鶴留雄太
52分43秒(16.4km)
区間8位(総合6位)
 
「リズムを掴めず、イメージする走りができませんでした。ただそれでも最後まで諦めず粘れたことは収穫でした」
第5区◆仲村一孝
51分28秒(14.1km)
区間3位(総合4位)
 
「去年より15秒も速いタイムでゴールできました。今大会は、精神面での強さが重要だということに改めて気付かされました」
補欠◆阿江匠
補欠◆森田圭祐

 


“十八駅伝” 全5区間コース概要

■第1区(13.6㎞)十和田湖休屋〜中滝
湖畔を右手にフラットな道を約5km走った後、高低差約200mの発荷峠を駆け上がる。登り切った後は中継点まで約5㎞を下り続ける。
■第2区(13.4㎞)中滝〜大湯
高低差188mの山道を小刻みなアップダウンを繰り返しながら下り続ける。距離こそ1番短い区間だが、もっとも“スピード”が要求される。
■第3区(16.3㎞)大湯〜花輪
花輪の市街地に向けた、ほぼフラットなコース。太陽光が照りつけ、暑さとの勝負となり、各チームともエース級の選手を投入してくる。
■第4区(16.4㎞)花輪〜熊沢
十和田八幡平駅伝で最長距離区間。熊沢へ向けて高低差243mを上っていく精神的にも肉体的にもタフさが求められる。
■第5区(14.1㎞)熊沢〜八幡平大沼
箱根駅伝5区(往路)の山登りを髣髴させる高低差575mの山道を駆け上がる。終始上り坂で、スタミナとタフな精神力が求められる。

大会概要

大会名 :第61回十和田八幡平駅伝競走全国大会
主 催 :全国マラソン連盟、鹿角市、小坂町
期 日 :2008年8月7日(木)8:00スタート
コース :十和田湖休屋〜八幡平大沼 5区間73.8km
天 候 :晴 十和田湖休屋=午前8時/25℃、八幡平大沼=午前11時43分/28.3℃

総合順位:出場30チーム

1位  Honda  3時間42分48秒<大会新>
2位  小森コーポレーション  3時間46分18秒<大会新>
3位  東京電力B  3時間51分57秒
4位  東京電力A  3時間52分16秒
5位  日産自動車  3時間52分33秒
6位  JR東日本  3時間53分32秒
7位  富士通  3時間55分45秒
8位  青森陸協  3時間57分11秒

東京電力B

順位 全73.8km 1区
13.6km
2区
13.4km
3区
16.3km
4区
16.4km
5区
14.1km
3位 選手 佐藤健太 村井勇二 島田健一郎 亀田健一 宮城普邦
区間
[順位]
41分58秒
[8]
38分36秒
[5]
47分50秒
[5]
51分40秒
[5]
51分53秒
[6]
総合
[順位]
41分58秒
[8]
1時間20分34秒
[6]
2時間8分24秒
[6]
3時間0分4秒
[5]
3時間51分57秒
[3]

東京電力A

順位 全73.8km 1区
13.6km
2区
13.4km
3区
16.3km
4区
16.4km
5区
14.1km
4位 選手 松本翔 原田恵章 橋本圭史 鶴留雄太 仲村一孝
区間
[順位]
40分55秒
[3]
37分54秒
[2] 区間新
49分16秒
[8]
52分43秒
[8]
51分28秒
[3]
総合
[順位]
40分55秒
[3]
1時間18分49秒
[3]
2時間8分5秒
[5]
3時間0分48秒
[6]
3時間52分16秒
[4]

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